TECHNOLOGY

秦野精密の技術

ファインブランキング(FB)を核としてプレス加工、板鍛造への領域を広げるとともに、既存技術への理解を深め、新たな塑性加工法の研究開発に取り組んでいます。

1.Fine Blanking

ファインブランキング加工

FB加工は1ストロークのプレス加工で削ったり磨いたりしたような平滑な打ち抜き面を得ることができる加工法で、平面度もよく生産性も高いことから自動車部品産業を中心に広く利用されています。
スタッフ写真 2

2.Features of FB processed products

FB加工製品の特長

ファインブランキング加工は、精密打抜き加工あるいは精密せん断加工ともいわれるプレス機械を用いた打抜き加工の一種です。0.5㎜~15㎜の金属板を平滑にプレスダレが小さく、わん曲を小さく打抜くことが可能です。
FB加工製品の特長 1
FB加工製品の特長 2
FB加工製品の特長 3
FB加工製品の特長 4

2.1 用途

平滑な打ち抜き面を活かして、歯車やフック、爪など、製品の側面にかみ合わせる、絡め合わせる、すり合わせるなどの機能を持たせたい場合。

良好な平面度を活かして、ブレーキパッドの裏板やクラッチなどの摩擦板、フランジなど面のすり合わせや、面同士の張り合わせによる封止機能を持たせたい場合

金型による加工の特長として、異形でも単純形状もほぼ同じ手間でつくることができることからほかの加工方法では高コストになりがちな長穴など異形穴が必要な場合などに効果的です。

2.2 品質

FB加工製品の精度について、一般的なFB加工部品の例として下図にあげるような製品で板厚5㎜の特殊鋼(S45CやSCM435)の場合、外形輪郭精度は±0.03㎜,穴の直径精度は±0.02㎜,穴ピッチ±0.02㎜、せん断面の面粗さRa1.6未満で加工することが可能です。

FB加工製品の特長-品質

2.3 生産性について

FB加工はプレス加工で、一般的にはコイルを使用した連続加工のため1秒から5秒で1つの製品をつくることができます。シート材やスケッチ材を使用して加工したとしても5秒から15秒で1つの製品をつくることができます。また金型が必要なことから形状変更が少なくある程度の長期間同じ製品が作れるという条件があります。以上のようなことからFBプレス加工はプレス機1台で考えると、月産200個から50万個程度まで生産することができます。

3.Sheet Forging

板鍛造

板材料から冷間鍛造の加工方法である圧縮成形や押し出しなどによって板厚を変化させながら成形する加工方法を板鍛造と呼びます。FBプレスを利用した板鍛造では複数工程を1型内に入れる順送金型で圧縮加工による段差やザグリ。押し出し成形によるピン成形、穴周りに縁を立てるリム成形などを追加することができます。
板鍛造の製品例
秦野精密の板鍛造

4.Proposal for Method Shift

工法転換のご提案

4.1 金属加工法

金属を機能を持ったカタチに成形するためには大きく4つの方法があります。1つ目は塊を削って形作る方法です。塊の材料を工作機械を使って刃物で少しずつ削り取ってほしいカタチにする方法で機械加工あるいは、除去加工と呼ばれています。2つ目は金属を溶かして、型に流し込んで形にする方法で鋳造と呼ばれています。3つ目は板や棒、管などを溶加材などを加えながらお互いに溶かしながら接合する方法で溶接と呼ばれています。ほかにも接合部に溶かした別の金属を流し込み接合するロウ付けや高温、高圧下でお互いを押し付けあうことで原子間の結合により結合させる拡散接合などがあります。4つ目は塑性加工で、金属に外力を加えて目的のカタチに成形する方法で材料ロスが少なく、強度が維持または強化できることが特徴で、大量生産に向いているとされています。また、この4種類の加工方法を組み合わせてカタチにすることも多く、塑性加工で素材から粗成形までを行い機械加工で仕上げるなどといったことがあります。

4.2 FB加工・板鍛造を使った工法転換

現在ほかの方法で加工していても、FBまたは板鍛造に置き換えることでコストメリットや、機能向上、リードタイムの短縮などが図れる場合があります。

4.2.1 レーザー加工/ワイヤカット放電加工→FB

レーザー加工またはワイヤカット放電加工していたものをFB加工に置き換えることで、金型の初期コストはかかるものの加工費は大幅に低減することができ、切断面もレーザー加工による熱影響に比べ、打ち抜きによる加工硬化のほうが残留ひずみが少ないため、後加工がしやすいといったメリットがあります。

4.2.2 鋳造→FB/板鍛造

板状または板+突起のような製品形状の場合、金属を溶かす必要がないため大幅なエネルギー(CO2排出量)削減が可能です。また、鋳造の場合、部品との接触面を機械加工で仕上げる場合が多いが、板材から加工した場合表面の凹凸が少ないため、加工したままか、軽い研磨などで仕上げことが可能です。

4.2.3 熱間鍛造+機械加工→FB/板鍛造

板状でΦ100㎜前後、板厚10㎜前後の製品では熱間鍛造工程を2回は行わなければならず、加工エネルギーが大きくなること、また工程が多くなるため中間在庫が多くなることが問題として挙げられます。FB/板鍛造に置き換えることでコイル材からの連続加工および簡単なバリ取りのみで所要の形状に成形することができ、大幅な加工エネルギー(CO2排出量)削減と中間在庫の削減が可能です。

4.2.4 粉末冶金→FB/板鍛造

粉末冶金の製品は複雑形状を実現でき、ある程度の強度は持たせることができるものの、耐衝撃性や耐摩耗性に問題がある場合、圧延した板素材から板鍛造で成形することにより耐衝撃性、耐摩耗性を向上させることが可能です。

5.Beyond - research and development.

その先へ-研究開発

持続可能社会の実現へ向けて、省エネルギー、省資源でのモノづくりが求められ、高精度化による後加工の廃止や、工程の削減、材料歩留まりの向上などが課題となっています。また製品の軽量化に貢献する高強度材料の加工など金型寿命の延長なども大きな課題となっています。

秦野精密では、これらの課題に対し塑性加工学会の先生、大学、公的研究機関と連携して研究開発を行っています。

ファインブランキングにおけるダレ形成の予測

ファインブランキングにおけるダレ形成の予測

【論文】銅のファインブランキングにおけるダレ形成要因

Prediction of die-roll in fine blanking by use of profile parameters

学会発表6
パンチ刃先応力分布に関する研究

パンチ刃先応力分布に関する研究

学会発表6
材料歩留まり向上

材料歩留まり向上

【論文】短冊状素材を用いた板側面からの成形による好材料歩留まり精密部品製造技術の開発

学会発表1
チタンのファインブランキング加工について

チタンのファインブランキング加工について

【論文】Galling-Free Forming of Titanium and Titanium Alloys Using Carbon Supersaturated Tool Steel Dies

学会発表1

CONTACT

お問い合わせ

秦野精密本社から見える山の稜線イラスト